HEC
特徴
- 冷水や温水に容易に溶解します。
- 水溶液は、低温、高温でも安定で、ゲル化しません。
- ノニオン性で、広い範囲のpH域で安定です。
- 増粘・保水・懸濁・保護コロイドなどの優れた性能を示します。
- 変質しにくく、水溶液の粘度も長期間安定です。
HEC(ヒドロキシエチルセルロース)は、セルロースに酸化エチレンを付加させることにより、水溶性とした高分子化合物です。
HECの水溶液は、増粘・保水・懸濁・分散・保護コロイドなどの優れた機能を有し、各分野で使用されています。
酸化エチレンの付加の程度を示す指標として、平均付加モル数(MS)があります。
「当社HEC」のMSは、1.5~2.5にコントロールされていて、製品のグレードにより異なります。
用途例
- 化粧品
- 塗料増粘剤
- 重合用添加剤
- その他
グレード表
銘柄 | 水溶液粘度(B型粘度計) | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
通常タイプ |
溶解性改良タイプ |
濃度* | 範囲(mPa・s) | ローター | 回転数(rpm) | |||
Aグレード | AL-15 | AL-15F | 2% | 20 | - | 30 | 1 | 60 |
AG-15F | 2% | 200 | - | 300 | 1 | 6 | ||
AH-15F | 2% | 800 | - | 1,500 | 3 | 30 | ||
AV-15F | 2% | 3,000 | - | 6,000 | 3 | 12 | ||
AW-15F | 2% | 8,000 | - | 15,000 | 4 | 12 | ||
AX-15 | 2% | 20,000 | - | 35,000 | 4 | 12 | ||
Sグレード | SW-25F | 2% | 10,000 | - | 15,000 | 4 | 12 | |
SZ-25F | 1% | 4,000 | - | 6,000 | 4 | 30 | ||
CFグレード | CF-G | 2% | 300 | - | 600 | 1 | 6 | |
CF-V | 2% | 5,000 | - | 10,000 | 3 | 12 | ||
CF-W | 2% | 10,000 | - | 16,000 | 4 | 12 | ||
CF-X | 1% | 1,250 | - | 1,750 | 3 | 30 | ||
CF-Y | 1% | 2,000 | - | 3,000 | 3 | 30 |
CFグレードは医薬部外品原料規格2006に適合しています。
詳細は営業担当者にお問い合わせください。
標準規格
製品グレード | 灰分(Na2CO3換算) | 水分 |
---|---|---|
Aグレード | 10±2% | <8% |
Sグレード | <5% | <5% |
CFグレード | <1% | <5% |
製品外観 白色または淡黄色粉末
製品荷姿 20Kg袋入り(ポリエチレン内装 3層クラフト紙袋)
水溶液の性質
1. 濃度と粘度
「当社HEC」の水溶液粘度は、その濃度が上昇するにともない、急激に増加します。
グレードおよび水溶液の濃度を選択することにより、ご要望の粘度を持った水溶液が調整できます。
2. せん断速度と粘度
「当社HEC」の水溶液は、非ニュートン流体であり、せん断速度の変化により粘度が変化します。
せん断速度が小さくなると粘度は大きな値を示し、逆に、せん断速度が大きくなると粘度が小さくなる性質(チクソトロピー性)を示します。
「当社HEC」の水溶液のチクソトロピー性は、分子量の大きい高粘度品ほど大きく、低粘度品になるほど小さくなります。低粘度品は、チクソトロピー性が非常に小さくニュートン流体に近い特性を示します。
溶解速度
「当社HEC」には、通常タイプと溶解性改良タイプがあります。
通常タイプは、溶解速度が大きく、攪拌しながら水中に添加することにより、すばやく水溶液を調整することができます。
溶解性改良タイプは、表面処理することにより、溶解速度を抑え、水への分散性を改良しています。水溶液調整時のママコの発生を防ぎます。
溶解性改良タイプには、銘柄末尾“F”およびCFグレードが相当します。
溶解方法
通常タイプは、溶解速度が大きいため、溶解方法が適切でないとママコを発生することがあります。一度、ママコ状になってしまうと溶解するのに非常に時間がかかります。このため、以下の方法で水溶液を調整することをお勧めいたします。
- よく攪拌し、水中で固まりにならないように、少量ずつ添加してください。
- 添加は、溶解による水溶液粘度の増加が始まる前に完了してください。
- 攪拌は、完全に溶解するまでつつけてください。
次のいずれかの方法を併用することにより、さらに効率的に「当社HEC」を溶解させることができます。
- 水に添加する前に、水と相溶性のあるアルコール類などで湿潤させておく。
- 他の粉末(水に不溶または溶解速度が小さいもの)とプレブレンドする。
溶解性改良タイプ(銘柄末尾“F”およびCFグレード)は、水に添加すると一旦水中に分散し、その後、徐々に溶解が始まるため、ママコの発生を抑える特徴があり、容易に水溶液を調整することができます。