【水系増粘剤】化粧品に使われる水系増粘剤の目的と機能

化粧品

水系増粘剤

私たちが日々使っている化粧品には、保湿成分のほかに、製剤を安定化させる成分や製剤を使用しやすくする成分である水系増粘剤が配合されています。私たちの生活の中であまり聞きなれない、水系増粘剤とは?また、配合する目的と機能をご説明します。

水系増粘剤(水溶性高分子)とは?

水系増粘剤とは

水系増粘剤とは水に溶解させることにより、液体の粘性を高める添加物のことです。水溶性高分子、または水溶性ポリマーが使用されることが多く、海藻や植物などから抽出したもの、微生物により発酵し生成されたもの、化学合成したものなどたくさんの種類があります。

化粧品に水系増粘剤を用いるメリット

では、化粧水に水系増粘剤を配合するとどうなるのでしょうか。 液体の粘性を高める水系増粘剤と化粧水が合わさると、もちろん配合量や種類にもよりますが、とろっとした美容液になったり、ぷるっとしたゲルになったりします。しゃばしゃばとした水のような化粧水より、とろみがあったり、ゲル状であった方が液だれしにくく、塗りやすくなります。また、水系増粘剤は水を抱え込む働きがあるので、塗布後、湿潤効果を高めたり、水分の蒸散を防いだりする効果が期待できます。 他に水に溶解しない成分、例えば油性成分を配合する場合、乳化剤だけで製剤を安定化させるのは非常に困難です。そんなときに水系増粘剤を製剤の安定化剤として配合します。乳化剤を入れた製剤に水系増粘剤を配合することにより、製剤の安定性向上、 使いやすさの向上、湿潤効果の向上と大きく3つの向上効果が期待できます。

増粘の仕方で使い分けられる機能

たくさんの種類の水系増粘剤があるわけですが、どういった使い分けをするのでしょうか。大きく二つの製品群、とろみのある製品とぷるっとしたジェリー状のような製品についてご説明いたします。

とろみのある増粘剤は主にシャンプーやボディーソープのような洗剤や美容液などによく用いられます。洗剤は水を加えて泡立てて使うことが多いのですが、水系増粘剤を配合することによって、製剤が粘性を持ち液だれしにくく洗浄前の使用性を向上することができます。さらに、洗浄中は泡もちをよくしたり、泡質を改善するなど、使用中の機能を向上させることができます。また、洗浄後には、必要な成分が髪の毛や肌に残ることにより、髪質を整えたり、肌に潤いを与えたりして、使用後に効果を発揮することが期待できます。 つまり水系増粘剤には、使用前、使用中、使用後に機能を付与する役割を持っています。

一方、ぷるっとしたジェリー状の製品は主にスキンケアクリームやオールインワンジェル、ヘアジェル(スタイリング剤)などによく用いられますが、製剤の安定性向上、使用性の向上、湿潤効果の向上と大きく3つの向上効果が期待できます。使用前、使用中、使用後に機能を付与する役割という点では、前述したとろみのある製品と同様となります。

では、水系増粘剤における増粘の違いについて深堀りしていきましょう。

とろみのあるゾルの増粘と、ぷるっとしたゲルの増粘との違いは?

化粧品製剤に粘性を与えることにより、様々な機能を付与することが分かりました。では、粘性の種類はどういったものがあって、それぞれどのような役割があるのでしょうか。 水系増粘剤を水に溶解させることによって、化粧品製剤に様々な粘性を与えるわけですが、その粘性の質は原料の種類によって異なります。とろみのある粘性を与える水系増粘剤をどれほど入れても寒天のようなゲルにはなりませんし、逆に寒天のようなゲルを薄めてもとろみのある状態にはなりにくいのです。

これらの増粘の違いとは何か。

答えは架橋の度合いです。水系増粘剤における架橋とは、字のとおり橋を架ける、高分子と高分子が繋がっている状態のことを指します。 長い紐、毛糸のようなものを想像してみてください。毛糸一本一本がばらばらでは、形を保持することができませんが、編み込むことによって形を保持することができるようになります。架橋の度合いとは、編み込む距離や編み込む数がどの程度かということです。編み込みが緩いと柔軟な形となりますし、編み込みが細かくなると柔軟性のない硬い形となります。編み込む数も同様に、数が多いとしっかりとした形、いわば融通の利きづらい形になりますし、数が少ないとしなやかな形、ほぼ形を成さないものとなります。 ばらばらの一本の紐の集まりであれば、とろみのある増粘剤。ある程度架橋している紐同士であれば、ぷるっとしたゲル化剤に、もっと架橋度が高くなると、ぶるんぶるんとした寒天のようなゲル化剤にといった具合で、架橋の度合いが変わることにより、水系増粘剤が化粧品製剤で発現する粘性の質が変わります。水系増粘剤を使用すると、とろっとした化粧水から、ぷるっとしたオールインワンジェル、ぷるぷるとした寒天のようなゲルまで様々な性質を付与することができるのです。

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  • 日用品
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