分子量50,000以上のポリエチレングリコール(PEG)とは?ポリオキシエチレンオキシド(PEO)との違いは?

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ポリエチレングリコール(PEG)

ポリエチレングリコール(PEG)とは?

ポリエチレングリコールとはエチレングリコールがポリマー化した構造をしており、PEGとして化粧品ではよく知られています。化粧品表示名称ではPEG-(数字:数字の部分には平均PEG数を記載)、INCIではPEG-(number of PEG units)と表記されます。PEGは医薬品添加剤としても用いられ、長年の実績がある原料です。

一言でPEGといっても、重合度は様々で、PEG-4からPEG-160Mまで、化粧品の表示名称として確認できます。エチレンオキシドを水の存在下で重合するとポリエチレングリコール(PEG)となり、水のない条件下で重合するとポリエチレンオキシド(PEO)となります。PEGもPEOも基本的構造は一緒ですので、化粧品ではPEOのことをPEG-5M、PEG-14M、PEG-45M、PEG-90M、PEG-115M、PEG-160Mと表記します。水の存在下で重合するPEGは分子量20,000程度、PEG-400までしかポリマー化できません。一方、PEOは分子量50,000以上のポリマー化が可能となります。

PEG(PEO)はどんなに長くても水に溶解することが可能といわれています。PEG(PEO)はポリエーテル構造をしており、本来は水に溶解しにくい構造です。なぜ、水に溶解することができるのでしょうか。大量の水の存在下ではPEG(PEO)はらせん構造をとるためだと考えられています。PEG(PEO)やPEG鎖を有する界面活性剤は曇点が存在します。曇点とはPEG(PEO)やPEG鎖を有する界面活性剤の水溶液が透明に溶解している状態から、温度を上げたときに白く濁る、すなわち曇った状態になったときの温度です。

なぜ、曇るのでしょうか。

温度を上げることによって、水が自由に動きだし、PEG(PEO)がらせん構造をとるのに十分な水分子が不足し、本来のポリエーテルとしての性質になって、水に溶解しなくなるためと考えられております。PEG鎖を有する界面活性剤が曇点以上の温度のときに、界面活性剤としての能力が最大になるのもこのためです。

PEG(PEO)は直鎖の構造をとっています。ポリマー同士の架橋はないため、ゾル性増粘剤として、用いられます。直鎖の長さの違いでどういった利点を化粧品製剤にあたえるのでしょうか。短い場合はエーテル構造の性質が強く出やすく、溶剤として働きやすく、低分子疎水性物質の可溶化剤や洗浄成分としてよく用いられます。水系増粘剤としては、直鎖の長い方が少量でゾル性粘性を与えやすく、長ければ長いほど顕著にその性質が現れます。直鎖が長いほど、曵糸性にも優れていきますので、化粧品では洗顔やボディーソープなどの泡もちを向上し、泡質を改善する目的で配合されます。

化粧水や美容液、シートマスクなどにもよく使用され、曵糸性の良さを利用し、とろっとした増粘を付与、塗布中の伸びの良さやすべりの良さを改善、保湿効果の実感を付与する目的で配合されます。塗布後はポリマーとしての利点が発揮され、皮膚上に塗膜として残ることにより、保湿効果の持続、肌の保護などが期待できます。マッサージクリームやジェルなどにもよく利用されます。使用中はすべり性がよくなることにより、マッサージしやすくなりますし、塗布後は効果を実感しやすく、保湿効果を持続し、肌を保護するなど、マッサージ製品に必要な要素を盛り込んでいるといえます。

住友精化製 PEO(PEG)

住友精化は化粧品表示名称として、PEG-5M、PEG-14M、PEG-45M、PEG-90M、PEG-115M、PEG-160Mを提供しております。いわゆるPEOといわれる分子量50,000以上の原料です。PEG-400以下の原料と違って、分子量が大きいため、水に溶解させにくくなっています。直鎖の長さにより、曵糸性とゾル性粘度が異なってきますので、製剤にどういった目的の機能をどのくらいの配合量で持たせたいかで、選択するとよいでしょう。

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