ヒドロキシエチルセルロースとは?

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ヒドロキシエチルセルロース

ヒドロキシエチルセルロース(HEC)

ヒドロキシエチルセルロース(HEC)はセルロースをヒドロキシエチル基で修飾したものです。セルロースは植物が生成する炭水化物で、グルコースがポリマー化した多糖類高分子です。天然のセルロースはとても安定な構造をしており、水には不溶な性質を示します。キサンタンガムのような微生物発酵型多糖類は容易に水に分散し、水系増粘剤として機能するのに対して、天然のセルロースは多糖類ですが、そのままでは水系増粘剤としては機能しません。天然のセルロースは大量に入手できるサスティナブルな原料ソースで、様々な産業利用をされてきて、今もなお注目され研究されています。HECも天然のセルロースを修飾し産業利用されている一つになります。そのままでは水に不溶のセルロースにエチレンオキシドを付加し、ヒドロキシエチル基を修飾することにより、水に分散し、ゾル性増粘剤として用いることができるようになります。

HECは化粧品表示名称、外原規名称ともに、ヒドロキシエチルセルロースと表記され、INCIではHydroxyethylcelluloseと表記されます。
化粧品や医薬部外品への配合目的は、天然セルロース由来の原料で、製剤にゾル性増粘剤を付与できることです。化粧水や美容液、シートマスクなどにはとろっとしたゾル性粘性を与え、塗布中は塗りやすさやすべりやすさを向上し、塗布後は保湿成分を肌上にとどめておきやすくし、保湿効果の向上、また肌上に塗膜として残ることによる、肌の保護効果などが期待されます。
また、マッサージクリームやジェルなどにも使用され、使用中はすべり性がよくなることにより、マッサージしやすくし、塗布後は保湿効果の向上と持続する、肌を保護するなど、マッサージ製品に必要な要素を盛り込んでいます。
曵糸性の良さを利用して、洗顔料、シャンプーやボディーソープなどの洗浄系製剤にもよく用いられます。曵糸性が向上することにより、泡立ち、泡もち、泡質を改善することを目的として、配合されます。

ヘアケア製品にはHECももちろんよく用いられますが、HECを原料としたカチオン化HEC(ポリクオタニウム-10)の方がもっとよく用いられます。キューティクルがはがれてくる、いわゆるダメージヘアはマイナスに帯電してきて、ぱさぱさの質感を与えるようになります。髪の毛がマイナスに帯電してくると、マイナス同士の反発で髪の毛はまとまりにくくなります。クリアファイルなどで頭をこすると髪の毛がクリアファイルについていく現象が起きますが、あれは静電気が発生して、髪の毛がマイナスに帯電することによって起きます。マイナスの帯電を防ぐ、キューティクルがはがれてしまった髪の毛を保護するのにはカチオン化(プラス化)した成分がとても有効です。HEC自体はノニオン(ゼロイオン)ですので、ダメージヘアへの吸着はカチオン化したほうが有利になります。
シャンプーやトリートメントなどのヘアケア製品への配合はその製品コンセプトによって、ノニオンのHECを用いた製品、カチオンのカチオン化HECを用いた製品、もしくはその両方を用いた製品といった具合で使い分けられています。

住友精化製 HEC(ヒドロキシエチルセルロース)

化粧品や医薬部外品原料としてCFグレードを提供しています。工業用グレードのHECとくらべて、灰分が極端に少ないのが特徴です。HECは一般的に、アルカリイオン存在下で反応させ、最後に酸で中和して製品化します。CFグレードはその副生成物である塩をできるだけ精製しています。工業用グレードのHECを用いた製剤では残存塩が影響を与えますが、CFグレードではその可能性が極端に低下します。一般のHECはコンプレックス(澱)をつくることがよく知られていますが、現在使用しているHECの透明性、安定性にお困りであれば、CFグレードを試してみる価値はあると思います。

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